このあいだ、戸棚の奥から昔の料理本を取り出して、ぱらぱらとめくっておりました。黄ばんだ紙に「きな粉入りの滋養菓子」と書かれた一節があり、思わず手が止まったのです。昔から、きな粉は体をいたわる食べものとして親しまれてきたのだなぁと、しみじみ感じました。けれどふと、「本当に健康にいいのかしら」とも思いました。おはぎやぼたもちにかけたり、朝のヨーグルトにひとふりしたりと、長年親しんできたきな粉ですが、体にとってどんな働きをしているのか、きちんと考えたことはあまりなかったように思います。今は食べものの栄養や働きを知って選ぶ時代。だからこそ、あらためて確かめてみたくなったのです。きな粉は健康にいいの?その答えは…結論から申しますと、きな粉は「体にうれしい面」もあれば「少し気をつけたい面」もある食べものです。大豆を炒って挽いたきな粉には、植物性のたんぱく質や食物繊維、骨や血をつくるのに役立つミネラルなど、からだを整える成分がたっぷり含まれています。一方で、油分も多く含んでいますから、たくさん食べすぎると胃に負担がかかったり、熱量(カロリー)を摂りすぎてしまうこともあるのです。つまり、「きな粉=体に良い」と一言で決めつけるのではなく、どんなふうに、どれくらいの量をいただくかが大切なんですね。私も毎朝のヨーグルトにひとさじだけ添えていますが、「ちょっとずつ、長く続ける」ことが、やはり何よりの秘訣だと思っています。きな粉がもたらす健康に良いこと腸内環境にうれしい食物繊維もし「きな粉の良いところをひとつ教えて」と聞かれたら、まずお話ししたいのが腸のことです。きな粉には、からだの中を掃除してくれるような食物繊維がたっぷり含まれています。おなかの動きがととのうと、気分まで軽くなりますし、不思議とお肌の調子がよくなることもあるんですよ。昔から「腸は第二の脳」とも言われますが、まさにその通りで、元気に過ごすにはとても大切な場所だと思います。私も、朝のヨーグルトにきな粉をひとさじ混ぜるのが、今ではすっかり習慣になりました。女性におすすめのイソフラボンもうひとつ、特に女性におすすめしたいのが、きな粉に含まれる「イソフラボン」という成分です。これは大豆の力のひとつで、女性のからだのリズムをやさしく支えてくれると言われています。更年期にさしかかった頃の揺らぎや、骨の元気が気になりはじめたときなどに、そっと寄り添ってくれる存在かもしれませんね。私のまわりでも、「毎日少しずつ続けていたら、調子がよくなった気がする」と話す方が多いんですよ。きな粉のイソフラボンの効果とは血糖値をゆるやかに保つ低GI食品急に血糖値がぐんと上がると、体にとってはちょっとした負担になりますね。その点、きな粉は「血糖値をゆるやかに保つ力」があるといわれています。甘いものが欲しいときに、きな粉のやさしい香ばしさで満足できたら、それだけでもからだにやさしい選び方になりますね。私も、午後に少し小腹がすいたときは、きな粉をかけたヨーグルトをほんのひと口だけいただくようにしています。それだけで不思議と、気持ちまで落ち着くんです。体をさびつきから守る力もうひとつ大事にしたいのが、きな粉にある「からだをさびつきから守る力」です。大豆には、サポニンやポリフェノールといった、体の中の“サビ”を防ぐお手伝いをしてくれる成分が含まれているんですよ。年を重ねると、どうしても気になってくる生活習慣病や老化。きな粉がそんな変化にそっと寄り添ってくれるなら、なんとも心強い味方ですね。きな粉がもたらす健康に悪いこと体にいいといわれるきな粉ですがね、実はちょっと気をつけたいこともあるんです。「摂りすぎなければ大丈夫」と思いがちですが、人によっては体質に合わなかったり、そのときの体調との相性もありますからね。おいしいからとつい気がゆるみがちですが、やっぱり無理なく、自分のからだと相談しながら付き合っていくのがいちばんです。たっぷりかけすぎに注意きな粉は100gあたりおよそ450kcalもあります。大さじ1杯(約6g)でも27kcalほどありますから、毎日少しずつ使う分には問題ありませんが、あれこれにたっぷりかけてしまうと、思った以上に熱量(カロリー)をとってしまうことになります。私も、以前は「からだによさそう」と思って、ヨーグルトに山盛りかけていたのですが、あとで反省しました。なにごとも、ほどほどがいちばんですね。きな粉を1日に食べて良い摂取量とは? 食べ過ぎに注意しようイソフラボンの摂りすぎにも気をつけてまた、きな粉には「イソフラボン」という大豆の力がたっぷり含まれています。からだにうれしい働きもありますが、サプリメントなどで同じ成分をとっている方は、全体の量を少し見直してあげると安心です。ホルモンに似た働きをするともいわれていますから、やはりバランスをとるのが大切ですね。腎臓が気になる方は控えめにきな粉には、カリウムやリンといった成分も多く含まれています。どちらも元気な体には大切なものですが、腎臓の働きが弱っていると、うまく外に出せず負担になってしまうことがあるそうです。もし腎機能が気になる方は、自己判断でたくさん召し上がるのではなく、一度お医さまに相談してから取り入れると安心ですね。体にやさしいものも、人によっては加減が必要になる。それも大切な知恵だと思います。栄養の吸収をじゃましない工夫をまた、きな粉に含まれる「フィチン酸」という成分は、鉄分や亜鉛といったミネラルの吸収をさまたげることがあるといわれています。特に鉄分が不足しがちな方は、ビタミンCを一緒にとるなど、ちょっとした工夫をすると安心です。私は、柑橘を絞ったお茶と一緒にいただいたり、旬の果物と合わせたりしていますよ。昔ながらの食べ合わせの知恵は、やっぱり理にかなっているものですね。きな粉に含まれる鉄分とは?不足を補うための活用ポイントを解説まとめきな粉は、腸の調子をととのえたり、女性のからだをやさしく支えたり、血糖値の上がり方をゆるやかにしてくれたり。昔ながらの素朴な姿のまま、いまも私たちの暮らしにそっと寄り添ってくれています。けれど、体にいいからといって、山盛りにすればいいわけではありませんね。ほんのひとさじを、毎日の食卓に静かに添える。それくらいの距離感が、きな粉とはいちばん長く付き合っていけるように思います。昔の人は、数字で栄養を測るより、季節や体調と相談しながら、少しずつ取り入れていたのでしょう。そんな暮らしの知恵を、私たちも大切にしたいですね。藤村雅子でした。またどこかで、きな粉のお話をご一緒できる日を楽しみにしています。